開催概要かいさいがいよう

令和7年度れいわななねんど
あいサポート・アート
とっとりてん
受賞作品じゅしょうさくひん

⿃取県内より応募があった総数466点の作品の中から審査員による厳正な審査を⾏い、各賞を決定いたしました。

美術部門びじゅつぶもん

審査員特別賞

  • ・《楽しんでる猫たち》 黒目 ふくみ
  • ・《もうつの迷路》 福田 洋一
  • ・《スクランブルエッグの花》 西尾 義清
  • ・《ぼくのなつ》 田中 菜月
  • ・《鎧》 田中 茂

佳作

  • ・《愛の覚醒》 焔 リヒト
  • ・《エレファントマン》 中井 啓裕
  • ・《こころ(ひらめき)》 だま
  • ・《無限迷図(むげんめいず)》 haru=tenpest
  • ・《お馬さんに乗ったよ》 坂本 悠貴
  • ・《設計図の画面》 髙垣 裕太
  • ・《止まらない、止めれない》 梅田 佳輝
  • ・《寿》 細木 広宣
  • ・《ステンドグラス》 久美岡 恵
  • ・《魚釣りに行ったよ》 新 敏男
  • ・《ほっこりの花風~自然の中、つながる仲間~》 地域活動支援センターほっこり
  • ・《旅するラクダ》 浜辺 美佳
  • ・《願いよ届け~LaLaランタン~》 はっぴぃフレンド
  • ・《星取県 ほしとりけん》 浜田 聡
  • ・《波》 中村 美穂
  • ・《生命力》 高橋 俊和
  • ・《Fearless~我が道で行く》 直子@nao_zhizi0202
  • ・《感謝 寛解》 青い雑種犬
  • ・《つる姫 たぬき糸車》 松田 早希
  • ・《私の織り》 瀧下 万穂

審査員講評

今年のあいサポート・アートとっとり展の美術部門審査会場に入った時の印象から講評を始めたいと思います。

出品作品の全てが一堂に並ぶ審査会場では、書道作品の大半は体育館の壁に立てかけられていましたが、それ以外のジャンルの作品は、平面作品は床に寝かせて、立体作品は自立するかたちで置かれていました。それは昨年度と同じで、出品作品一つひとつと向き合おうとすると、多くの作品は斜め上から覗き込むような角度で見ることになります。そのような状況の中で、私以外の審査員も抱いた第一印象は、例年よりも落ち着いた作品が多いということ、私自身の感覚から言えば「爆発的なパワーを放出するような」、周囲の空間を圧倒するような作品は見られないということでした。別の言い方をするなら、「作品」という枠組の中に収まっている、「表現」としてのまとまりを獲得している、と言えるのかもしれません。さらに言い方を変えると、大人しい作品の割合が多かったということでしょうか。

では、「ならば、心をワクワクさせる作品が少なかったのか?」と問われれば、決してそうではないと言えるでしょう。最優秀賞を受賞した作品をはじめ、新しい展開、いわゆる具象的な絵画作品であっても「これは一体何を伝えようとしているのか?」と見る人に思わせるような作品が幾つか見られました。見る人に謎かけをするような作品、或いは、驚くほどの描き込みと豊かな色彩が融合した作品などと出合うと、本当に心がワクワクする、心が揺さぶられるような時間を味わうことができると思いますが、それが今年も審査会場で実現していました。

今年応募された作品の総数は410点。それらの作品群から、審査員はそれぞれの感覚で「これは」という作品を選んでいきますが、やはり私を含めて今年の審査員は総じて、作品それ自体から立ち上がってくるイメージの強さに注目していたように思います。加えて私は例年どおり、作者が創造したいイメージ、ヴィジョンとはどのようなもので、それが自然なかたちで表出されているかどうかも大事なポイントになると考えて作品を見たのでした。

そんな中で最優秀賞になったのが紬心さんの《存在》でした。これまでの最優秀賞作ではあまり見られなかった大画面の中央に、二人の人物がいる。そしてその人物たちが立ち尽くす場所。人物の背後には大きな二つの光があり、その周囲は銀色の反射光のようなもので覆われているように見える。作者のコメントには「諦めなければ、なんでもできる、を子どもたちに伝えるためにいつか夢を掴んでほしく、手形をかたどりました」とある。手形を探すと、確かに画面の左下に手形らしきものがあります。そのように作品の細部に注目していくと、二人の人物の間にある不思議なかたちは、なんとドラムセットであることに気づきました。そこから、この作品が描いているのは、あるロックバンド?が私たちに向けて音を奏でている様子なのだろうと、つまり一瞬のうちに私たちの中に紬心さんの世界が立ち上がったのでした。そうなると、二人の人物が持っている細長いものは何か、二人の足元から画面の外に向けて広がる地面には何があるのか。いろいろと見えてくると同時に、まだまだ謎めいたところを残す、実に味わい深い作品であると思われたのです。作品の完成度や表現手法は荒削りなものの、見る人に何かを訴えかける力は十分にある、そんな作品でした。

また、金賞を受賞したRieさんの《夢くじら》、昨年に続き金賞を受賞した廣東未紗さんの《さんぽみち》はどちらも、見る人を引き込むような描写力を存分に発揮していました。とくに廣東さんの作品は色彩がさらに豊かになり、作品の質が上がっていると個人的には感じました。そして、同じく金賞受賞のクッキー宮本さんの巨大な立体作品《宇宙の小さな鏡の絵本》は、可愛らしいパンダたちと、鏡を多用した不思議な世界観が魅力的でした。

この他にも沢山のユニークな作品が会場には並んでいます。それらのどれもが受賞作となる可能性はあると感じました。しかし、受賞をしてもしなくても、それらが作者の内側から立ち上がる純粋な表現である限り、作品は光を放ち続けるはずです。それは作者も、私たち観賞者をも強く照らすものであると信じています。

美術部門審査員 鳥取県地域社会振興部美術館学芸課長
 三浦 努

文芸部門ぶんげいぶもん

審査員特別賞

  • ・《駅伝》 大空 一清
  • ・《もぐら注意報》 無難P

佳作

  • ・《まわってる》 㔟登 彩乃
  • ・《水曜日の昼下がり》 中木 美穂

審査員講評

今年は因州和紙や障子紙、色紙やトレーシングペーパーなどのうえに言葉を書きこんだ、視覚的に訴えかけてくる作品が多かったが、どういった素材を用いようともまずは“ことば”がある。胸の奥底にねむっている、言葉になるまえの(まるで音符のような)“ことば”。それを生け捕りにし他者につたえるために、私たちは筆記具や紙やデジタル機器を使用する。AI(人工知能)がどこまで発達しようとも、つかわれる側に立ってはいけない。素材や色彩、筆致からも投稿者のかたがたの熱量を感じながら、じっくりと選考させていただいた。

最優秀賞は加藤奏斗さんの詩「おれのサーモン」。タイトル・筆跡・絵すべての要素がからみあってサーモンの魅力/旨みを、これ以上にないほどひきだした傑作だ。短詩型の作品にはレトリック(表現上の技術)がもとめられるものの、そんなものなどおかまいなしの、「詩」というジャンルをつきぬけるほどのインパクトがあり、まるで、いまも“ことば”(作者の、あぶりサーモンにたいする情熱や食欲)が紙のうえの言葉をあぶっているかのような、言葉そのものが脂ぎっていておどっているかのような、なまなましい筆づかいと息づかいに、たちまちこころをわしづかみにされた。私たちに本来そなわっている“ことば”(感情や思考やおもい)こそ、モノやコトの本質につうじているのではないか。

金賞は中嶋乃彩さんの短歌「万博」、銀賞は山の上のさんさんの俳句「亀鳴くや四半世紀をこの鬱と」。前者は「万博を母と一緒に楽しんだインドネシアの父をおもって、今年ならではの作品。後半の下の句が心にささる」、後者は「春の陽気の中、自らと向き合ってきた作者の前向きな姿が感じられる」と、どちらも長石彰審査員の評価が高かった。銅賞の鳥取県腎友会の川柳作品にたいしても「日常生活の中に川柳がしっかりと位置づけられていること。そして、しっかりと自分自身と向き合っている姿がすばらしい」と絶賛だった。詩の応募数が圧倒的に多いなかで、七五調を意識して十七音や三十一音に落としこまれた作品が続々と入選をはたしたのは僥倖だとおもう。今後、あらたな潮流を生むのではないかと、そういったきざしを感じさせられた。ぜひ短歌や俳句、川柳にも挑戦していただきたい。

佳作は㔟登彩乃さんの詩「まわってる」と中木美穂さんの詩「水曜日の昼下がり」で、どちらも、もっとうえの賞でもおかしくないレベルに達している。二作品とも「日常」を軸に物語られているが、㔟登さんは日々の生活のリズムと惑星の軌道を重ねあわせて宇宙的スケールの円環を形成し、中木さんは車いすの位置から風を感じ、雨のにおいをかぎ、鼓動とともにビートをきざみながら“アトラクションみたいな”世界をえがいていて、なんでもない一日なんてどこにもない、私たちがどうとらえるか、どうむきあうかが肝要なのだとおもわせてくれる。この二作品を、ぜひ会場で読みくらべてみていただきたい。会場をでるころには世界の見えかたがかわっているかもしれません。

審査員特別賞――長石審査員は大空一清さんの俳句「駅伝」を、私は無難さんの詩「もぐら注意報」を選んだ。「駅伝」はストレートに表題の情景を詠んでいて好感をもった。ここにも“ことば”の膂力がはたらいている。一方、常連入選者の無難さんは、毎年、質の高い作品をつくられるので、私のなかではほとんど無鑑査レベルである。今回も、地下にひそむもぐらを主体にして世のなかの勝手なルールや人間同士のしがらみや根拠のないうわさなどにツッコミを入れつつ、さらにオノマトペやリフレイン、ユーモアもまじえつつもぐらの生きざま・信念・態度決定を描出することで、私たち読者に「どう生きるか」を問いかける、痛烈かつ痛快な一篇だ。

Takeru-EXさんの詩「レコード・クリスタルライト」には(惜しくも入選にはいたらなかったものの)もっとも衝撃をうけた。額縁のなかに、ポップな楽曲・歌詞とともにレコードをも組みこんで想像上のバンドをでっちあげた、他に類を見ないこの作品は、最大の問題作であり型破りな怪作だった。文芸というよりはアート性がつよく、ゆえに選外となったが、この作品の圧倒的なまでの存在感や造形美、作者の才能・発想力・展開力に、端倪すべからざる潜在性と可能性を感じた。独自の世界観を追求していってほしい。

おなじく選外であるが倉見虹羽さんの詩「ねぇ」も印象にのこった。漫画のふきだしみたいに視覚化された「ねぇ」「よんでよんで」「きいてきいて」といった“ことば”の中心にハート形の、いうなれば「感情の巣箱」のようなものがあり、そこに、まだまだたくさんの言葉未然の“ことば”(音符もまじっている)がパッケージされていて、見れば見るほど胸がさざなみ立つような、せつない小鳥のさえずりがきこえてくるような、そんな感動をおぼえた。

胸のうちの五線譜上に、言葉になるまえの“ことば”をさぐりあてながら輪郭を与え文脈を形成し、固有の物語を敷衍していく――創作という行為は、まるで、星と星をむすびつけてまだ名づけられていない星座を生みだすようなものだとおもう。あなたしか知りえない秘密を、あそこにあんなにもうつくしい星座があることを、私たちに教えてほしい。

読者は、もしかしたらあなたが「ヨダカ」と呼んだ星や星座に、べつの名前や意味を見いだすかもしれないけれど、そこから奇蹟的なまでのコミュニケーションがはじまるのだと、そのコミュニケーションこそ人間が奏でられる音楽であり物語であり、生きることのよろこびなのだと、私は信じている。

文芸部門審査員 日本現代詩人会会員
 漆原 正雄

マンガ部門まんがぶもん

審査員特別賞

  • ・《けんかの先に・・・》浜田 拡弥
  • ・《チャレンジ夫婦円満》 のり弁当
  • ・《天使の戦争撲滅~お菓子大作戦~》 ピカとも

佳作

  • ・《しん・ぶつ・サンダー》 えのきたけ
  • ・《擬人化 生き生き わくわく》 池本 伸治

審査員講評

※お名前は敬称略

最優秀賞
『むきむき!マッチョマン』つくもん
マッチョマンの筋肉を描くのがとってもお上手で、筋肉への愛が伝わりました…!
4コマとしてのクオリティも非常に高く、思わずクスっとしてしまう展開はお見事。
構図のメリハリも素晴らしく、漫画がとてもお上手だと感じました。
マッチョマンをもっと見てみたいので、ぜひ続きも描いてみてください。

金賞
『ゆかりのプライベート』加藤ゆかり
日常のひとコマを、ユーモアたっぷりに描けている、素晴らしい作品だと思います。
漫画は、読者に共感してもらうことがとても大事なので、「あるよね~」と思わせたら勝ちです。
絵も丁寧に描かれていて、好感が持てました。

銀賞
『友の一言』やまとたいし
たくさんの画材で描かれた画面が圧巻でした。
絵のクオリティも素晴らしいですが、4コマとしての完成度も高く、キャラクターに愛着が湧きます。
きりんじしさんもしょうじょうさんもとってもチャーミングですね。
いち読者として、毎年このシリーズを楽しみにしております。

銅賞
1日限定営業 ねこマスターのスナアバックス開店』ヒノキ風味
すなば×スタバという、鳥取らしいユーモアたっぷりのネタが素晴らしかったです。
作画も丁寧で、空や砂の描写や効果に至るまで、繊細に美しく描かれています。
ねこ店長シリーズ、引き続き楽しみにしております。

佳作1
『しん・ぶつ・サンダー』えのきたけ
天上界でのお話という着眼点がおもしろかったです。
3人のキャラクターもしっかり深掘りできていますね。
絵も丁寧に描かれており、読みやすかったです。

佳作2
『擬人化 生き生き わくわく』池本伸治
漫画の大きさが迫力満点でした。
この大きさで描いてみようと思われた点が、まず素晴らしいと思います。
動物も可愛らしく、色鉛筆での着色も丁寧で、見ごたえがありました。

審査員特別賞(伊吹)
『チャレンジ夫婦円満』のり弁当
夫婦の日常がユーモラスに描かれていてよかったです。
登場人物が鳥取弁なので、キャラへの愛着がわきますね。
意外なオチも面白かったです。

審査員特別賞(小村)
『天使の戦争撲滅~お菓子大作戦~』ピカとも
平和への願いが込められており、メッセージ性が強いところが良いと思います。
本当にこうやって戦争が終わっていけばいいのになぁと感じました。
絵もとっても可愛らしく、ほっこりしました。

審査員特別賞(武田)
『けんかの先に…』浜田拡弥
鳥取の名産、松葉ガニを題材に、面白く描けていたと思います。
ケンカの描写や、ウミガメのさりげないツッコミもお上手でした。
これからも日常の中の「?」を大切に、作品を描いてみてください。

マンガ部門審査員 漫画家
 武田 愛子