開催概要かいさいがいよう

令和5年度れいわごねんど
あいサポート・アート
とっとりてん
受賞作品じゅしょうさくひん

⿃取県内より応募があった総数476点の作品の中から審査員による厳正な審査を⾏い、各賞を決定いたしました。

美術部門びじゅつぶもん

審査員特別賞

  • ・和也(かずや)《various designs
  • ・浜辺 美佳(はまべ みか)《着飾るアルパカ》
  • HANTAX(はんたっくす)《The Flower of Hope
  • ・福田 洋一(ふくた よういち)《雨》
  • ・森山 彩乃(もりやま あやの)《猫娘》

佳作

  • ・横野 千織(よこの ちおり)《すいすい手形くらげ》
  • ・濱田 聡(はまだ さとる)《怪獣の住むお花畑》
  • ・中村 美穂(なかむら みほ)《黄菖蒲》
  • ・安木 貴郎(やすぎ たかお)《夢ごこち》
  • ・サンサンルームのなかまたち 《アルモンデ》
  • ・大津 明日香(おおつ あすか)、 伊東 直人(いとう なおと)、 杉本 隼一(すぎもと じゅんいち)《海の中の魚たち》
  • ・佐伯 明信(さえき あきのぶ)《トーテンポールの仲間たち》
  • ・いろあそび鳥取クラブ合同作品《わたしたちのお楽しみ》
  • ・優(ゆう)《猫》
  • ・直子@nao_zhizi0202(なおこ)《未来の市町村看板 in Tottori
  • ・塩 順一郎(しお じゅんいちろう)《へびの寄り合い》
  • ・伊木 雅彦(いぎ まさひこ)《無題》
  • Takeru-EX(たけるいーえっくす)《羽化の痛み》
  • ・琴の浦高等特別支援学校 美術部 《カフェ花瓶敷き「花」》
  • ・橋本 賢(はしもと けん)《ハッピー♡》
  • ・小椋 湧介(おぐら ゆうすけ)《夜明けと蛍》
  • ・高橋 俊和(たかはし としかず)《破》
  • ・とにかく うるさい すぎもと♡ minimum
  • ・松田 早希(まつだ さつき)《おりもんやで作りました》
  • ・西谷 あゆみ(にしたに あゆみ)《等身大のワタシ》

審査員講評

本年度に入り新型コロナウイルス感染症が5類へと移行し、徐々に日本社会全体の雰囲気も柔らかくなってきた一方、厳しい国際情勢は続き、それと連動した物価上昇の波は私たちの暮らしにも及んでおり、それは各種の画材類についても例外ではありません。そのような中でも、様々な技法で制作された作品が数多く集まり、今年もあいサポート・アートとっとり展が開催されたことは素晴らしいことであると思います。美術部門の応募総数も411点と、昨年の388点よりも増加しました。これは、制作者をはじめその関係者、支援者の皆さんの中に「創作」への思いが強くあり、日々の暮らしの上でもそれが大きな比重を占めていることを示しているのだと私は考えています。

審査の日、全ての応募作品が一堂に並べられた会場で感じたのは、やはり出品点数の多い絵画作品と書道作品、立体作品の迫力です。それらの分野ではサイズの大きな作品が多く、そういった作品から放たれる視覚的なインパクトは、鑑賞者の心を掴むのに十分なものであったと思います。そのインパクトはつまり、制作者の心の充溢と、それを支える自身の身体の伸びやかさ、或いは奮闘努力の結果を示しているのだろうと推測します。一方、では小さなサイズの作品はどうであったかというと、小さな「フレーム」の中に収まりながらも、大きな作品に見られる大胆なストロークに引けを取らない、極小のタッチの中に埋め込まれたミクロコスモスが放つ大きな力を感じさせるような作品も幾つか見られたのでした。

今回、最優秀賞を受賞した中原理恵さんの《愛に満ちた明るい未来》はまさに、そういった作品であったと思います。一見するとレース編みの工芸品のような、大変細やかなタッチで描き込まれた大小様々な動植物たちが乱舞する楽しげな世界がそこにはあります。しかし、それがモノクロームの抑制的な線的表現によって展開されることにより、装飾的なイメージの背後に秘められた制作者のヴィジョン、或いは生命の神秘への意識といったものが静かに立ち上がっています。本作は、今回の出品作品の中では小さなものではありますが、フレームを超えて放出されるヴィジョンに圧倒される、そんな強さ、大きさを持った作品であると言えるでしょう。一方、金賞を受賞した廣東未紗さんの《ゆめのブランケット》は、比較的大きなサイズの画面の中に煌びやかな色彩に満ちた圧倒的な線描が集積された力作ですが、ここでも制作者の中にあるヴィジョンは画面の外へ溢れ出ようとしている、それほどに強いものだと感じました。

他にも様々な作品が受賞していますが、それらはバーチャル空間に設置された「鳥取県立バリアフリー美術館」でも鑑賞することができます。実物が展示された会場では、一つ一つの作品の細部に注目して制作者の息遣いや気迫をリアルに感じてもらい、他方、インターネットを介した鑑賞は、リラックスした環境の中で、過去の作品などと比較したりしなが楽しむことができると思います。リアルとバーチャルのどちらでも、多くの方がお越しになることを心より期待しております。

美術部門審査員 鳥取県立博物館美術振興課長
 三浦 努(みうら つとむ)

文芸部門ぶんげいぶもん

審査員特別賞

  • ・シルエット(しるえっと)《あり》
  • ・加藤 真拓(かとう まひろ)《ひつようふかけつ》
  • ・たかちゃんぷQ(たかちゃんぷきゅー)《再生。》

佳作

  • ・植村 俊介(うえむら しゅんすけ)《列車達の生活》
  • ・谷田(たにだ)《ネバーギブアップ》

審査員講評

本年度文芸部門の出展作品は、詩32点・短歌4点・俳句2点・川柳11点の49作品でした。作者の言葉が自分のものとなり、意志を明確に伝えている。どれも力作ぞろいで、応募された原稿の生の姿を見るとなおさら、言葉の強さを感じられた。審査は各審査員の審査結果をもとに、作品の構成や内容、表現や言葉の扱いなどを検討し、各賞の入賞者を決めました。

■最優秀賞 詩 「もの言えぬマイノリティの言の葉」 旅人
障がい者から見た「地域」にある施設の在り方を内面で描いている。「地域」という言葉に対する鋭い視線がある。詩のなかの「いったいあなたの言う地域ってどこなんだい」と読者に問いかけている。また、最終フレーズに「共に生きるてのはそういうことやろ」と大阪弁の少し照れ臭いしゃれである。

■金賞 詩 「きゅうりの叫び」 無難P
書き出しの「聞こえない 聞こえない 野菜の声は聞こえない」とまずキュウリに自分の声をのせてきたのがうまい。「中身も味も変わらんのに 形が違うと並びも違う」と現実をきちんと把握している。並び方のそこに、商品価値としてのキュウリがある。キュウリはきゅうりであるのに。自分は自分であるのに。詩の中の「最終戦別」は『最終選別』なのかどうか。意図的に「戦う」選別にしたのだろうかと思う。無難Pさんは表現力に優れているベテランですね。

■銀賞 詩 「学校の音」 大北 真知生
学校の日常をオノマトペで表現しているのがうまい。「こうていのくさ ぱさぱさ さわさわ ゆらゆら」と前半のカタカナ表現を展開させて、ひらがな表記とした。それが場面の転換となった。起承転結の「転」である。何気ない学校生活をきちんと見つめて、表現できている。

■銅賞 詩 「コスメ」 この
化粧している状況が、具体的な姿となって見えてくる。オノマトペも多彩であり、動きがあらわれている。最後の「ヘアスタイルはストレートで韓国っぽく 目指すはねこ目の黒髪ロング」何かおもしろいコスメとなったようだ。自分が希望の持てる自分の姿が読者に見えてくる。

■審査員特別賞3点
・詩 「あり」 シルエット
題材としての「あり」は今までに詠われすぎている。しかしそのなかで、力強い筆のタッチで文字が生きている。いろんな物を巣に運ぶ。なかに「さとう」「虫の死体」「石ころ」があり、作者の観察力が出ている。

・詩 「ひつようふかけつ」 加藤 真拓
携帯電話のスマートフォンとの生活をきちんと書いている。「なぁ君」と呼びかけのリフレインが電波の波のように、うまく詩の中に溶け込んでいる。リズムよく流れを作っている。最後に「考えなくても生きられる」と単に便利さの追求に終わらないで、生き方への疑問と将来への不安を提起している。

・短歌 「再生。」 たかちゃんぷQ
日常の中に、ぼくだって、恋だってするよ。そんな切ない気持ちが出ている。まだ、失恋をしたわけじゃないけど、相手に対して、「好きだ」と言えないでいる。その、もどかしさを「気持ち切り替え」と七音で表現した。詩の部門に負けない、短歌の物語性がある。

■佳作2点
・詩「列車達の生活」 植村 俊介
列車に対する作者の熱い思いが詰まっている。キハ47、とっとりライナー、スーパーまつかぜなど列車の特徴をよくつかまえて表現している。「風が気持ちいな このまま益田までぶっ飛ばすぜ じゃあな」と読者に気持ちのいい流れをくれました。「じゃあな」の言葉が活きている。

・詩 「ネバーギブアップ」 谷田
どんぐりが成長していく過程を詩と絵にして描いている。一粒のどんぐりの苦悩や不安、成長してトトロの森となる夢、落ち葉のやさしいふとんでねむり、そして春を待つ喜びがある。春になって、ひとつの物語を見せてくれた。

問題作として、短歌「愛人・0人」大田垣康二を上げたい。短歌・俳句・詩になる前の言葉の強さがあるが、まとまりが少し足りない。ただ、作者は「愛」という絶対的な言葉に対して、相対的なものを、句点を入れて持ってきた。愛は約束、でも愛はすれ違い、愛は誤解、愛はそれを許さない、だからいま戦争。とすれば一応の詩にはなるかもしれないが、作者は意図的に言葉を短く、句点での表現としたのだろう。また、この人の作品で詩「ダークエネルギーを計算できたかもしれない」も審査員として考えさせられた。

また、詩「ハグ(hug)」桜ねこを読む。ハグ(抱き合う)することの中に日常の平凡な幸せを感じさせてくれた。抱きしめる左の義手という重い言葉がある。真綿のようなやさしい、あたたかなハグのなかにつらい過去があったことを思わせる。そこには十分な物語性がある。

詩「チリとチリ」福田英子を読む。部屋の中にあるチリを宇宙空間まで広げた面白さがある。「大宇宙を創っているチリと小宇宙の自分を創っているチリは同じ要素」という。素粒子を持ち出すこともないが、目に見えているチリにいろんな思いを託している。

言葉は自分の分身です。自分を大切にすることで、言葉は生まれてきます。その言葉を、自分のつくった言葉を読者と共有できたら、幸せなことはありません。
今回も、詩の作品が上位を占めましたが、言葉の瞬発力、爆発力としての、短い詩としての短歌・俳句・川柳への応募にも期待したい。

文芸部門審査員 鳥取県川柳作家協会
 西浦 幹茂(にしうら みきしげ)

マンガ部門まんがぶもん

審査員特別賞

  • ・中嶋 美香(なかしま みか)《猫日和》
  • ・水鴨 均(みずかも ひとし)《新立花家のお駄賃ウォーズ》
  • ・ピカとも(ぴかとも)《ワクチンの魔法少女ワクチーナ》

佳作

  • ・社(やしろ)《AIで遊ぼう》
  • ・景山 幹子(かげやま みきこ)《元気な2人に乾杯》

審査員講評

「このキャラを見て!読んで!」という熱量に溢れる作品が多く、とても楽しく審査をさせていただきました。今回ご応募されたみなさんには、創作の根源となるその感情を、いつまでも持ち続けてほしいと思います。レベルも高く、審査もとても悩みましたが、賞の有無に関わらず、個性あふれる素晴らしい作品ばかりでした。

4コママンガという括りでしたが、表現の仕方は千差万別で、マンガという表現に大きな可能性を感じております。マンガを描くのは、とてつもなく大変な作業で、多大な労力を要します。だからこそ、可能性に溢れるみなさんには、賞の結果に左右されることなく、楽しく漫画を描き続けていただきたいと思っております。

■最優秀賞「ポイすてストップ」
4コママンガの基本である「起承転結」がしっかり押さえられており、作者のメッセージもシンプルゆえに強く伝わってきました。絵も丁寧で、マンガの周りに散りばめられている海の生き物たちも、とてもかわいらしく、画用紙一枚で、ひとつの素晴らしい作品になっている点もよかったです。

■金賞「『願い』をかなえて!星取県」
とても鮮やかな水彩の画面に惹かれました。構図や描き文字にもこだわりが見られ、本当にマンガがお好きなのだなということが伝わってきます。これからも自分の「好き」を大切にして、描き続けてください。

■銀賞「夏の花」
無声漫画というのは、とても難しいのですが、エモーショナルで完成度の高い作品でした。無声だからこそ、読者の想像力も膨らみ、余白を楽しむことができました。絵もとても丁寧で、よく観察されており、素晴らしいです。

■審査員特別賞「猫日和」
とにかく猫ちゃんがかわいいです!キャラクターのデフォルメもよく、色使いもかわいらしいので、エッセイ漫画としてのレベルも高いです。ぜひ続きを描き続けてほしいです。

■審査員特別賞「新立花家のお駄賃ウォーズ」
キャラクターがとても生き生きしていてよかったです。描くのが難しい引きの絵も、精力的に描かれており、素晴らしいです。タイトルセンスも抜群だと思いました。

■審査員特別賞「ワクチンの魔法少女ワクチーナ」
ワクチーナのキャラクターが可愛らしくて魅力的だと思います。新型コロナウイルスで苦しんでいる人たちを励ましたいという執筆動機も素敵です。今後も日常に溢れるさまざまな感情を、マンガに昇華させていってください。

■佳作「AIで遊ぼう」
AIに対する皮肉がコミカルに描かれていて面白かったです。主人公の顔はずっと同じなのに、コマごとに全く違う感情が受け取れる点も素晴らしいです。今後も自給自足でたくさんの作品を描いてください。

■佳作「元気な2人に乾杯」
キャラクターの髪や服の色使いが鮮やかで素敵でした。独特の世界観を持った作品だと思います。個性は武器になりますので、これからも個性を大切に描き続けてください。

マンガ部門審査員 漫画家 武田 愛子(たけだ あいこ)